第二章 尿検査の前日にオ○ニーしちゃって後で先生に呼び出される中学生

というわけで尿検査なんて完全に想定外だったんですけども。あれって難しいですよね。学生の頃から何度やっても慣れないですよあれだけは。おしっこをコップにするという言いようの無い違和感。「もしかしてなんかすごくいけないことをしているんじゃ」ていう背徳感?ていうか、いきなりおしっこしろって言うのが無茶だと思う。しかもちょっとタイミングを逃すと紙コップになみなみとなって超パニック!その間も水流は止まることを知らず……って、下品な話ですいません。とにかくあれだけは慣れないですよ。なかなかスタイリッシュには出来ないです。
しかし病院で尿検査するとコップのまま提出で簡単ですね。知ってましたか?あの細いのに入れなくて良いんですよ。
前述のとおり、僕は朝からとても生きた心地もしない極度の緊張にあり、気づくと今日初めてのおしっこだったわけで。周りに並んでいる他人様の紙コップを見ても明らかに一番黄色い。ていうかオレンジじゃん!うわー絶対尿検査引っかかる……肺ガンと関係ない病気で引っかかる……そう落胆しました。
振り向くと、そんな僕にガンを飛ばしてくるえらくガタイのいいB-BOYがいます。彼も紙コップを片手に持ってます。あ、邪魔なのか、ごめんね。
彼とは検査の流れがずっと同じだったらしく、行く先々で出会いました。その度に睨んできます。僕としては仲間意識が芽生え、
「そんなに恰幅の良い身体なのにどこか病気なのかい……?」
と話しかけようと思いましたが怖いのでやめました。彼の左手にはホワイトバンドがきつそうに巻きついてました。
血液検査の時も、彼と順番を待ちました。血液検査の先生は3人いらっしゃったのですが、その中に美人な女医さんが一人だけいまして、僕も彼も(きっと)その女医さんに当たりたいという想いでいっぱいです。僕が当たりました。彼はおっさんの採血医です。明らかに不服そう。僕は勝ち誇りました。最悪の瞬間の前のささやかな幸せ……とでも言うのでしょうか。