リスペクトパンダ。

最近読んだ本と言えば、菅野ぱんだの「パンダちゃん」なんだけども。

パンダちゃん

パンダちゃん

「ふわふわでぽわぽわでぎゅうっとしたくなる」可愛いパンダがいっぱい写ってる素敵な写真集なのだそうだが、この写真集のパンダ、…可愛いってよりは

スゲー面白いんだけど。

ホント一回読んでもらいたいんですけど、これめちゃくちゃ面白いから。キングコングより確実に面白いから。

で、パンダってなんでこんなに面白いんだろうって思うわけです。
で、気づいたの。パンダって近くで見ると「絶対人格あるだろ」ってくらい人間っぽいからだって。
その人間ぽさを一回意識しちゃうと、引きの画も、なにもかも面白くなっちゃうの。ほんと、檻の鉄格子の向こうから集団で見つめられると、
「これは、なにか社会的なメッセージなのかも」
と、思ってきちゃう。
あいつら、もしかしてコント集団なのかも
ボーッとした顔して笹食んでんのも、可愛くごろごろしてんのも、何にも考えてないようなフリしてるけど、本当は全部社会的メッセージや皮肉を含んだコントなのかも。
絶対、お前らわざとやってるだろ!」って思う。

だって、ありえないじゃん!あのふざけた配色。自然界ナメてるじゃん!もう、「目の周り黒い」とか保護色でもなんでもないじゃん。NHKとかでたまにやってるアーティスティックな舞台演劇じゃん。それか「鉄拳」じゃん!!

で、この写真集の最後にいろんなパンダ豆知識が載ってるんだけども。
もはや謎以外の何者でもないね、こいつら。

以下、抜粋して引用 なお、〈カッコ〉内はflamberge。

  • 誕生

パンダは更新世初期(300万年前)からパンダのまま存在してたらしい。
人類の誕生ですらアウストラロピテクスが出現した400万年前なのに。

  • パンダと竹

英名はBamboo Bearというくらいパンダと竹は当たり前の組み合わせに思われているが、調べてみると非常に不可解。パンダは竹のほとんどを消化できない(!!)のである。そのため無駄に体力を消耗しないように寝て食べてを繰り返す。一日の食事時間は14時間。
しかし、肉は上手く消化できる(!!!)。調査のために野生のパンダを捕獲する場合にはマトンをいぶし、おびき出す方法が取られる(肉の臭いにつられてでてきちゃうんだよ?普段我慢してるって立証されてるでしょコレ)。
犬歯もあってほとんど肉食動物。なのにパンダはくる日もくる日も竹を食べ続ける…。

  • レモンの香りのウンチ

パンダは腸が短いので竹のような粗い繊維質をほとんど消化できず、ほぼ竹そのままの形で排出される(本当になんなの?この非効率的な食生活)。そのため糞は黄緑色でにおいもしない。なかにはレモンの香りがすると言う人もいる。

  • パンダのメンス

竹を上手く消化できないからなのか、パンダは一ヶ月に一度の割合で半日から一日きらいかけて腸粘膜の剥離を起こし、拳大の粘膜の塊を排泄する。パンダによってはかなりの疼痛を伴う。竹を食べていいのか悪いのか良くわからない体である。

  • やっぱり肉食動物?

子供が生まれてから数日間、母パンダは飲まず食わず、眠りも、移動もせずに育児に専念する。一日に3000回も子供を舐め、皮膚の新陳代謝と排泄を促す。また、子供の排泄物も全部舐めとってしまう。子供を舐める行動はトラやライオン、ヒョウ、クマ、オオカミ、ジャッカルなど肉食動物に多くみられる。

と、まあ。ね?どう、この計り知れないほどの不可解さ。
やつら、基本的に肉食動物なのよ。体の中で竹を食べることに向いてるのは手(竹をつかみやすく手首の骨が突き出てる)だけ。あいつら、本当は肉の臭いにつられてフラフラ出てきちゃうくらい肉好きなのに。なのに、頑固に竹ばっか食って。消化できないのに、食うもの変えないで、できるだけ動かないようにして一日14時間も竹食うことに費やしてるの。しかも、そのせいで腹まで痛くなるって、無理しすぎて身体にガタ来てる!ガタ来てるよ!!
ちなみに、100年に一度、竹が開花して枯れるらしい(これもこれですごいけど)んだけど、その時、軽く100頭くらい餓死するらしい。
なぜ?なぜ、そうまでして竹だけを食う道を選んだ??

もう、これ確実に修行だろ?
ていうか、まじで仏教徒じゃないの?


そして僕は想像する。遥かな昔の中国を。パンダの始まりを。
そこには、恐るべき戦闘能力で大陸に敵なしとまで恐れられる最強のクマの一族がいた。動くすべてのものを強靭な顎と鋭い爪で皆殺しにし、片っ端から食料に変えてしまう恐ろしい戦闘集団。恐怖の破壊クマ一族。
彼らの繁栄は栄華を極めていた。このまま血塗られた殺戮の王(ブラッディーキング)として、大陸を永久に支配していくだろう、そのはずだった。

―しかし。

ある時、一族の中でも最強と歌われた一人の男(オス)が反旗を翻したのだ。
「もう人殺しなんて、まっぴらなんだよ!!」
幼少の頃からあらゆる殺人技術をその身に叩き込まれた一流のクマ戦士、その名は「パンダ」。彼の言葉に一族の誰もが耳を疑った。
彼を諭す一族の長。
「パンダ…殺さずにどうするつもりだ?お前の体はすでに隅から隅まで破壊のための体だ。他者を食いちぎるためのキバ!ツメ!完璧なまでの保護色!そして、もはや肉しか受け付けない腸!殺人を目的として組み立てられた、お前は完璧な殺戮マシーン!そのお前が「殺す」ことをやめれば、待っているのは死。ただ滅亡のみ。お前に未来は…無い。」
パンダは自嘲気味に笑う。さびしそうに。今までこの手が奪ってきたのは、星の数ほどの数多の命。その手を握り締め、天を仰ぎ、彼は腹の底から叫んだ。
「…人の未来を奪ってでしか作り上げられない悲しき未来ならば!俺はそんなもの、もう要らない!!!」
パンダの咆哮は、立ち込める深い霧を突き破り、悠久の谷間にこだました。
「ふっ、無駄だ…。たとえ、お前が殺さずとも、お前の本能が近くの生物に爪を立てるだろう……。な…?な、なにをしている!?パンダ!!」
したり顔で語る族長を尻目に、パンダはおもむろに足元にあったペンキを頭からかぶったのだ。
「…保護色なんてクソ食らえだ。こんなふざけた色をしていれば、誰も俺に近寄ってこないだろ?」
ツートンカラーとなったパンダを前に唖然とする一同。いつの間にか濃霧は流れ、その鮮やかな陰陽が柔らかな陽光に照らし出される。
「愚かな…。一族を愚弄するかぁっ!?」
族長の怒声をいともせず、竹林にゆっくりと踏み入るパンダ。先は深く険しい山だ。そのふざけた白黒の後姿は、ただ、一族との完全なる決別を静かに物語る。
離反は重罪である。本来ならばこの場で即刻処刑されるべき。しかし、強固な彼の決意を前にして動けるクマなど誰一人として居なかった。この悲しき決別とパンダの未来に、涙する女(メス)たち。
「くっ…、これから……どうするつもりだ」
かろうじて族長が口を開く。彼ほどのクマであっても、それが精一杯だった。
パンダはひらひらと手を翳しながら頭上に輝く太陽を見上げた。
「さあね……、笹でも食いながら考えるさ」


ぐすっ……、リスペクトパンダ(涙)。